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2017年2月 月例会レポート

2017.03.07.

第21期 2月の月例会が開催されました。
幹部参加型イベント 急成長企業の経営幹部に求められる条件

ワークスアプリケーションズ CEO 牧野 正幸 氏
“相当な質問を事前にいただいて、きょうできるだけそれをまとめて、お話をしていこうと思います。
早速始めていきたいと思います。
 
フェーズもそうだし、当然その会社の文化・業務のあり方もそうなんで、
本来は「おのおのの中でどういう状況なのか」っていうのを判断しないと、
答えられないような質問もあるんだけど、
自分たちはこうだったというだけじゃなくて、今まで結構試しながらやってきて、
いっぱい失敗もしている中でどれがベストなのかというのを、
現在は採択しているものも含め、その辺で少し役に立つお話ができるかなというふうには思っております。

 ”
Q 「幹部に求めるものは?」
“カルチャーによって異なってくると思いますけど、「あなたの会社は本当は何を目指してるのですか?」っていう部分が結構大きなポイント。
いろんな方がいろんな理念・ビジョンを会社の中で当然皆さん確実に掲げて、ホームページに書いたり、社員に発表したりと思うんですけど、「それ本当ですか?」っていうことが結構あって… 要は「具体的にやる事がはっきりしない会社」も結構多いと思うんだよね。
 
で、結局何がやりたいのかっていうのがはっきりしないと、結果的に社員もいろんな形で理解することになっちゃうから、文化そのものもぶれるよね、ものすごく。
社員に説明するときに、相当ブレークダウンしたら、こういうことなんだよっていうのが明確になってるかどうかっていうのが、結構会社の文化をつくっていく判断の基準で。
だからそこが、実は幹部に求めるものっていうことでいうと、大きなポイントなんだと思うんですね。
 
「規模をどこを目指してるのか」というのによっても求める幹部像が変わってくる
一体どれぐらいの規模になったら、あなたが考えてるような会社っていうのは実現できるんですかっていうことが、結構大きなポイント
 
会社が持ってるカルチャーだとか、どこを、何を、最終ゴールにしようとしているのかということが、非常に密接に結びついてくることだと思いますが、きょうはカルチャーの話をし出したら切りがないので、規模をまず思い描いてほしいなと思うんですね。
 
「幹部と管理職は、明確に違う」と僕は思うんですね。
僕らは「大部長」っていう言い方するんですけど、大部長は、部下を1000人、1万人持っていても大部長なので、この人は幹部じゃないんです、
要は「組織を任せているだけ」だから。
 
だからサラリーマン型の会社、サラリーマン経営者の会社で言えば、幹部なんか一人もいないですよ。あれ全部、社長の部下だから。
 
部下の管理職に対して何を求めるかっていうのは、これはもう皆さんも今、中間管理職をどうやって育てようとか、いろいろ考えてそれなりにうまく出来ているはずなのね。店舗の店長・事業所の所長っていうのはこういう素養が要るよねっていうのは、今はもう皆さんが考えていることでほぼ合っていると思うし、間違っていても是正すればいいだけだから、そんなに難しいことじゃないのです。
 
 ”
「幹部って何なの?」
“じゃあ、「幹部って何なの?」っていうことですが、
 
確実に成長期の中で成長していくと、最終的なボトルネックって、「人・物・金」と言うわれるのですが、人も物も金も全部揃っても、最後に1個残る一番大きなボトルネックは「経営者」なんですよね。
経営者のリソースが足りないのがボトルネックに必ずなるんですよ。
 
特にベンチャー、ベンチャーは逆に言えば、経営者が最大のリソース・最強の武器、経営者自体が最強のエースで、最も使えるカードであることは間違いないんだけど、
その最強のカードが使える時期っていうのは、従業員5人とか、10人とか、30人とか、規模によっては、うちの場合だったら500人ぐらいまでかな。
経営者が最強カードで、この経営者の能力に依存しているわけですよ。
ところがある一定規模を超えてくると、そこがボトルネックになってきちゃうのね。うちの場合でいうと、従業員数でいうと1000名ぐらいのときに、これ、「ボトルネック全部経営者じゃん」って。俺の時間が全く足りてないっていうのがあって。
結果的にそのせいで、判断が遅れたり、任せ切れない部分っていうのはいっぱいあるわけですよ。任せた瞬間に競争力落ちちゃうとか。
 
そうすると、結局経営者のリソース不足によって事業が伸びないっていう時期が、必ずベンチャーの場合は来ます。
そうなった瞬間に、「今度じゃあ、組織化しよう」と。大部長いっぱいつくって、課長をつくって、きっちり組織にして。「これで大企業に勝てる見込みありますか?」絶対ないです。
だって彼らは組織力、めちゃくちゃ高いんですよ。組織力だけで維持してるわけですよ、その組織力で維持してる人たちと、闘ってるわけじゃないですか。ベンチャーっていうのは。最初勝ち続けられるのは、完全に「経営者のリソースがあるからこそ勝ててる」んだけど、それがあるタイミングになったら、組織化したくなるわけね。
 
一つはリソースが足らないので、組織化しなきゃしょうがないっていって、大部長いっぱい置き始めるわけですよ。それは信頼できる、ずっと成績が上がってきたような部長をどんどんどんどん偉くして、部下の数を増やしていって、そういう人たちを育てていくっていうのは、これは「幹部の育成」じゃなくて「管理職の育成」なんだけど、これをやっていってもリソース不足は改善しないのね。なぜかっていうと、その人たちは幹部じゃないからですよ。じゃ、幹部っていうのは何をするものなのかっていうことなんですけど、

「部下を持って大きな組織を率いてもらう」のが幹部じゃなくて、「経営者のリソースを増やす」のが幹部
なんですよね。
 
だから、例えば「自分自身が本来ならこうやって判断して、こういうクリティカルな問題点を自分が解決したいんだ」とか、「これを全社的にこうやって広めるためには自分はこうやりたいんだけど、それを代わりにやってくれる」のが幹部なんですよね。
それは大部長だからできるかっていうと、できないです。
 
ただうちの場合でいえば、大部長クラスっていうのはいっぱいいます。五、六十人います。彼らは正直言って自分の個性で結構組織を運営してるんですね。で、正直言うと、このやり方って正しくないんじゃないかなと思いながらも、でも部下はちゃんとグリップできてて、業績がきっちり上げられていれば、「ま、いっか」っていう話なのね。正直言って。
そういう流れで動かせるのが、僕は大部長だと思うんですね。
大部長っていうのは、優秀な課長が優秀な部長になり、そして大部長になっていくわけで、これはもう見ていれば分かるはずです。

 ”
“だけど幹部っていうのは、大部長じゃないんだよね。やっぱり
「自分に対して、自分のリソースをどれだけ広げてくれるか」で、「経営者のボトルネックをどこまでなくすか」ここを誤ると、僕は結構多くの企業が誤ると思うのは、大部長いっぱいつくって、この大部長を統括しようとするんだよね。そうすると何が起こるかっていうと、さっきも言ったように組織化していかなきゃならないから、組織化、がんじがらめにすると大企業と同じなんですよ。で、大企業に勝てるかっていったら、勝てない。
 
これはもう、一番大きいのは大企業で働いてる人たちっていうのは、企業に対するブランド力を持ってるんですね。とりあえずここにいれば、出世していけば、ハッピーになれるって思ってるから、みんな我慢してる部分もいっぱいあるわけですよ。
 
だけど、ベンチャーで我慢するやつ、いますか?。そこまで大部長なるぐらい力あって。みんな我慢してないですよ。そうすると、そこでまたぐちゃぐちゃになって、もめ事が起こっていっちゃう。だから組織化して我慢するようなやつらが多い中でいうと、絶対に大企業の組織力にはやっぱり勝てないですよね、ロイヤリティーも高いし。そこで同じ道を歩むと、必ずベンチャーってただの中堅企業になっちゃうんだね。だから組織化を始めたそのタイミングでその企業の未来が決まっちゃうんですよ。
 
これ、業種によるよ、業種によるけど、例えばIT業界にしましょうか。IT業界でいうと、100人、200人、300人、400人ぐらいの規模で、組織化するじゃないですか。これもう、ただの中小ですよ、どこまで行っても。それ以上、爆発的に伸びることなんか絶対ない。
もうそこで組織化しちゃってんだもん、完全に。
経営者がリソースあんまり使わなくていいのは、任せてるからですよね。任せてる状況の中で、今までのように自分がこう思うから、「こうだ、おー!」ってやってても誰も付いてこれない。組織があっという間に崩壊しちゃうんで、ある程度彼らに任せながら、「何か違うんだよな」と思いながら、もう任せるしかなくなっちゃうんで、結果的に組織が硬直化して、ただの中堅企業になっちゃうんですね。これ、3000人規模ぐらいでやったら、ただの大企業と呼んでいいのかな、まあ、しょうもない大企業ですね、正直言って。それぐらいの規模になっちゃう。
 
それが、今の皆さんが立ってる岐路だと思うんですね。だから10人のときに組織化なんか始めたら、もうめちゃくちゃですよ。ただの中小企業どころか、零細企業で永遠に終わっちゃう。一生懸命伸ばしても、せいぜい中小企業の、あんまり大したことない中小企業で止まると思いますね。だから、考えなきゃなんないことっていうのは、
 
大部長はどんどん量産したらいいんです。しかもそのときにベストな人を大部長にして、全然問題ないですね。だって業績上げてくれるわけだし、ある程度任せられるわけだから。だけど幹部は、ほんとによく考えて決めたほうがいいです。
 
要は自分の代弁者にならなきゃなんないわけで、代弁者でもあり、多分俺よりもこいつのほうが確実にできるなっていうやつが、そのある領域だけはできるなっていうやつに、任せるしかないんですね。でも任せるときに、何か普段から俺と話してて全然方向が違うんだけど、こいつは優秀に違いないから任せようなんてやったら、もうむちゃくちゃになっちゃうでしょ。だから例えばロイヤルティーだって高くないと駄目だし、いろんな要件が幹部には出てくると思います。
だから”
幹部の必要条件っていうのを考えるときに、一番重要なのは?
皆さんが幹部の必要条件っていうのを考えるときに、一番重要なのは、最終的な組織のゴールイメージで
 
例えば30人だったら、もうマネジメント能力ゼロでいいよね。だって、自分がマネージしてればいいから。だけどそれだけじゃ、自分の能力じゃ足らないとしたら、もうスペシャルエリアしかないの。特殊な技術さえ持ってれば、あとマネジメントは俺に任せてくれってやれるけど、それが500人になったら、この人も幹部にしても別にいいけれども、ちゃんと「自分と同じようにリーダーシップとれる人間」を多く幹部にしていかないと、スペシャリストばっかり5人幹部だってどうしようもないし、このスペシャリストに、おまえもちょっとはマネジメントしろとかって、それ、できないんですよ。
 
だからどの規模で止めるかによって、幹部っていうのは決めるべきだし、なおかつ幹部を決めるんだったら、僕は正直言って、その成長速度にもよるけど、そんな創業から5年やそこらで決めるもんじゃないと思うね、幹部は。
 
 
逆に言うと、創業1年以内に決めるんだったら、これは価値がある。それはもう、だから創業経営者なんだよね。創業1年以内に決めるんだったら、創業経営者として幹部にもう迎え入れちゃえばいいと思うんだけど、
 
次のチャンスはっていったら逆で、組織とか方向性がもう明確に見えてて、規模も大きくなったタイミングで、優秀な人材を大量に採れるような状況になって、5年ぐらいしてからですよ。そうすると、めちゃくちゃ優秀なやつから、ほんとに自分の会社の幹部に向いてるやつをピックアップできるんで、それか創業間もないときかしかないんだけど、さすがにここ、創業1年、2年の人あんまりいないんで、そのタイミングで決まってないんだったら、次はもう幹部は、要らないですよ。ぎりぎりまで。それを、私は皆さんにきょうは伝えるべきと思ってました。
 ”
“じゃあ、幹部っていうのに必要な条件って何なのかっていうと、当たり前ですけど、
「自分が寄っかかっても大丈夫っていうぐらい優秀なやつじゃないと駄目」なんだよね。こいつってまだまだなんだなのやつは幹部にすべきじゃないんですよ。創業間もないときで、自分もまだまだだったらいいですよ、一緒に成長してけばいいんだから。だけどさすがに一定規模になったときには、「寄っかかれる強さと能力があるやつ」でないと。
幹部ってのはもう教える存在じゃないんで、判断する存在でもないし、評価する存在でもないんで。
 
ちなみにうちの会社は、幹部をつくったのは2年半前です。ですから17年間、幹部なしでしたね。ただ創業メンバーが3人いたんで、これがずっと幹部だったんです。それ以外は大部長しかいませんでした。
だから相談なんか、大部長には一切しないです。僕ら3人でずっと相談し決めていましたし、自分の仕事の一部を渡すっていったって、渡してもできないから、自分たちで全部やってる。
 
だけど、ちょうど今から2年半ぐらい前に、経営幹部っていうのをピックアップしたんですけど、それは何かっていうと、実は今、ものすごい勢いで組織を大きくしてるんですけど、これから先、最大級のボトルネックが自分たちであることに、もう気付いてたんだよね。
 
もう俺らのせいで会社の成長率、完全に落ちてると。それは能力がとかいう、格好付けて言うんじゃなくて、物理的な時間が足らないんだよね。
そのボトルネックを解消するために、2年半前にわれわれは初めて、いわゆる一般の企業でいうと役員っていうのを、一気に15名指名したんだけど。
 ”
「幹部っていうのはどうあるべきか?」
“その15名を指名したときに、「幹部っていうのはどうあるべきか」っていうのは、創業からずっと考えていて、ずっと幹部をつくらなかったのね。やっぱり幹部っていうのをつくっちゃうと、それによって文化が変わっていっちゃうでしょ。
 
今一つだなと思うやつを幹部にすると、社員全員に認めさせなきゃなんないわけで、こいつが間抜けだとしたら、間抜けでもいいんだよ的な雰囲気を伝えないと、何であの人が幹部なんだみたいになっちゃうから、だからどうしても、伝え方も描くんだよね。例えばこの人、全くコミュニケーション能力1個もなくて、本当に人に対する伝える能力なくて、ちょっと暴力的だとすると、それでもいいんだよって言わないといけないわけじゃない。だって一心同体なんだから。それでもいいんだよと。そんなの関係ないじゃんと。そんなことはおまえらが理解しろよって。多少暴力的かも分かんないけど、いいじゃんって言わなきゃなんないわけで。そうなってくると、この会社の文化って、そういう文化なんだなってなっちゃったら、幹部にこいつをするとすると、こいつも一体化して運営したら、明らかにこの会社の文化、崩れんなとか、もしくはこの会社のレベル下がっちゃうなと思ったら、そういうやつは入れられないなって思いながら、ずっと考えてたんです。
 ”
幹部に必要な3つの要素
1.「ポジティブシンカーかどうか」
“最終的に選んだのは、三つなんですよ、条件は。一番重要視したのは何かっていうと、大部長じゃないんで、マネジメントじゃ駄目なんですよ。
 
重要なのはリーダーシップなんですね。今、皆さんの会社でもそうですが、トップがリーダーシップ持って情熱を持ってやってるんで、みんな付いてきてるわけです。その中で、トップの中で一番重要な要素は何かっていうと、もうここにいるトップはほぼ全員、当たり前だけど持ってるんだけど、「ポジティブシンカーかどうか」なんですよね。
 
 
ポジティブシンカーっていうのと、これを社員に言うと、能天気と必ず間違えるので、要はオプティミストは駄目だと。要は能天気っていうことで、これよく説明するのは、オプティミストは駄目で、ポジティブシンカーが大事なんじゃなくて、ネガティブシンカーも駄目。オプティミストも駄目。もっと言うと、ベストはペシミストだよね。ペシミストっていうのは悲観主義者ね。ペシミストでポジティブシンカーが理想的なんだよね。
 
だから一番分かりやすい例で、
穴がむちゃくちゃ開いてて、その深い穴が開いてるところを車で走らなきゃならないときに、穴ぼこだらけで、落ちたら死ぬっていうのを認識するやつじゃないと、危なっかしくて、そんなやつ経営者できないんでね、落ちたら、マジ死ぬなと、しかも落ちるよ、絶対に、高速で走ってたらって。これが重要なんだね。
 
これを、オプティミストだったら「いや、大丈夫じゃないの。落ちても」って。「落ちないでしょ、多分」なんて言ってたら、絶対落ちるから。これはもう、当然経営者としては危機管理意識が全くないから駄目なんだけど。
 
じゃあ、重要なポジティブシンカーはどういうものかっていうと、落ちないように一生懸命がんばるけど、落ちたときに、自分死んでない。超ラッキーと。これはもう楽勝だと、死んでないんだもんって。だからなんぼでも上がる方法あるし、何とでもなるよっていうふうに部下に言えるのが、ポジティブシンカーなんだよね。
 
このときに多くの人は大体、オプティミストのやつでさえ、落ちると。もう駄目だと。もう俺、駄目だと。こういうタイプっていうのは、当たり前だけどリーダーとしては不適格なんだよね。
 
何か一見、こうやると駄目、ああやると駄目とか言ってるやつっていうのは、いやいや、そうじゃなくて、危険なのは分かってるけど、その上でやって、やって失敗したときでもちゃんと社員を、「熱意を持って」「情熱を持って」「社員と一緒になって」「その問題を解消するように」要は穴に落ちた後上がれるようにできるやつが、リーダーとしては重要なんで、ポジティブシンカーかどうかっていうのは最重要視してます。
 
 
うちの大部長、70人ぐらいいるうち15人をピックアップするときに、業績とか全く関係ない。そんなことはどうでもよくて。いたんですよ。いや、いっぱいいる、今でも。こいつはすごい優秀なんだけど、めちゃくちゃネガティブなんだよねっていうやつは、やっぱり部長にしとくのはすごくいいのよ。「与えた数字はやってますから」みたいなタイプだから、それはいいんだけど、こいつを幹部にすることはどうしてもできない。だから、重要なのはポジティブシンカーであることっていうのが1個。
 ”
2.ロイヤルティ
“あともう1個は、これは幹部だけにしか求めないんですけど、ロイヤルティです。
大部長や末端の社員まで全員ロイヤルティを求める方法もあるとは思うんですけど、それは無理っすよ。ロイヤルティっていうのは企業のブランドがないと。せめて幹部だけでもロイヤルティを求めるべきで、だから私は幹部にする際に、意見は違っても確実に自分のことをリスペクトしてるなと思うやつ、なおかつ自分もリスペクトできるなっていうやつしか選ばないっていうふうに決めてました。
 ”
3.強いスキルセット
“あとはさっき言ったとおりで、寄り掛かっても大丈夫なほど強いスキルセットを持ってるっていうのも重視しました。スキルセットって何かっていうと、みんな経営してたらいろんなエリアの仕事をしてますよね。その中で、このエリアだったらこいつは絶対俺よりも確実にやれるっていうエリアがあったら、もしくはこういうことを考えさせたら、こいつは確実に俺よりも優秀だっていう、これをうちは幹部にしてます。
 
だから、中には大部長から幹部になったやつもいますけど、むしろ大部長じゃないやつのほうが、まあ、半々ぐらいかな、大部長から幹部になったやつと、結構スペシャリスト系だなと思うやつから幹部になったやつもいます。どちらかというと、大部長としては失敗したやつからも拾いました。大きい組織任せたら、こいつまるっきり駄目だなっていうやつもいるんだよね。それでも確実にうちの幹部として、ロイヤルティも高いし、寄り掛かれるぐらいの能力があるエリアにおいてあるし、なおかつポジティブシンカーっていうやつを、ピックアップして幹部にしました。
 ”
“あと、何か質問の中であったのが、規模によってっていうのは、だからあんまりないんだよね。どの規模でっていうのは、その人のスキルセットはある、このタイプのスキルセットがいいとか、逆に言うと規模がどんどん大きくなっていくんだったら、ある程度マネジメントスキルセットがないと駄目とか、というのはあるけど、それ以外は正直言ってまあ、どうでもいいことだと思うんですよね。だから規模によって違うのは、今言ったスキルセットが違うだけなんで。そのスキルセットが違っても、別にスペシャリスト系のやつはそれでいいと思うんだけど。
 
ただマネジメントスキルセットが高いやつだと思ってるやつを、それだけの理由で幹部にするっていうのは、これ大部長を幹部にするパターンなんですけど、絶対に今言ったロイヤルティとか、ポジティブシンカーであるっていうことを除いて幹部にしちゃうと、後でえらい目に遭いますから、これだけはやらないほうがいいと思います。
どんなに素晴らしい業績上げてても、その人は部長なんです。どこまで行っても。
幹部ではないってことですよね。
 ”
来場幹部に向けて
“ここにきょう幹部の人も来られるんで言うんだけど、
「幹部はイエスマンじゃ駄目」とか言うんだけど、イエスマンでは駄目に決まってるんだけど、
「ノーマンはもっと駄目でしょう」。当たり前だけど。それが結構、間違えて伝わるケースもあって。
 
 あまりにも経営に年が近かったりして幹部にしちゃったやつっていうのは、ちょっと勘違いするやつがやっぱり多いですよね。だけど、よくよく考えてほしいのは、

「その会社は誰の会社だ?」っていうと、創業者の会社なんだよね。だから、もしかしたらその人が会社を興せば、逆に言うとその人のほうが優秀かもしれません。だってその人がつくる文化、その人が考える将来、企業像っていうのがあるわけで、そこに合ったものをつくっていくのだから、そっちが優秀かも分かんないよ。だけど、少なくともこの会社でやるのだったら、確実に創業経営者が一番分かってるに決まってるわけ。 っていうか、創業経営者が最大級に能力を発揮できる仕組みに、創業者がしちゃってるんだから、もうそれに関してはノー、ノー、ノーって言ってもしょうがない話なんだよね。
 
なので「ディスカッションは大事だけど、リスペクトすることが絶対重要」なんだってことだけは、私は幹部の方々には言っておかないといけないなと思うんですね。リスペクトしてないんだったら、もう辞めたほうがいいよ、
 
たまにほんと駄目な会社に行くと、駄目な会社の役員と会うと、「いや、うちの社長に理念つくれって言ってくださいよ」とか言うやつ、いるんだよね。「理念つくれって言ってください」って言ってるこの会社、もう終わってるなと思うのね。「何でそう思うの」って言ったら、「理念のない会社とかないですよね」って、そんなのどうでもいい話で、理念がない会社が悪いとかいいじゃなくて、そんなことを社長に対して思ってる時点で、もうこの会社崩壊してるなと思うんだよね。だから、そういう意味じゃ、リスペクトはものすごく重要だと思う。逆にリスペクトできない社長の下で働く必要は、僕はないと思うんだよね。幹部って言われてる人たち。っていうふうに思っています。
 
 ”
幹部の育成について、「とりあえず幹部にしちゃう」っていう方法論は?
“あと、とりあえず幹部にしちゃうっていう方法論ですね。
 
「とりあえず幹部でもいいんじゃねえの」みたいなこれを私も考えたことあるんですけど、とりあえず幹部にすると、確実に後で切らなきゃなんないですよね。当たり前ですけど。
 
皆さんの会社もそうですが、本当に優秀な人を採ろうと思ってる会社であれば、5年目より10年目、10年目より15年目っていうふうに、成長が止まるまでの間は、最も優秀な人間が採れるのっていうのは後半なんですよ。そうすると後半になって優秀なやつが入ってきたとき、彼らは何をもって判断するかというと、入社前はリクルーティングのやつがうまくやったり、社長講演聞いて、「何かタンゲさん、マジいいね」みたいになって入ってくるんですよ。けど入ってから見るのは幹部なんですよ。社長なんかほとんど話しすることないから。
 
そうすると幹部を見て、この人優秀か、この会社ろくでもねえなとか、いろいろ思うわけで。そのときにろくでもないやつが幹部だったら、優秀なやつは辞めますよ。
 ”
“よく採用の話も、後半になって聞かれるので答えますけど、採用で優秀な人間を採ることは、どうやったらいいですかっていうことなんだけど、優秀なやつしか採らなきゃいいんだけど、その優秀なやつを採るって、実はリスクがむちゃくちゃあるのね。
新卒でも中途でも若手の優秀なやつっていうのは、人間的に優秀なわけじゃないのね。頭がいいだけだから。もちろんまだまだ子供だし、わがままだし、っていうやつがいっぱいいるわけですよ。そうすると、ちょっとでも自分が思ってる論理に矛盾してると、もうその時点で不満を持ち始めて、この不満に対する論理展開っていうのは、恐ろしく頭がいいんで、もうとてつもない不満を持つんですよね。それを、いろんな意味で全く不満なんか持つ必要性ないじゃんって納得させられるだけの能力は、経営者には大概あるのよ。だけどその下の人にはないんだよね。
あっという間に辞めてく。すると優秀なやつが辞め始めると、また優秀なやつが辞めるのね。どんどんバックサイドに入っちゃう。だから幹部っていうのは、相当慎重に、明確に幹部ですっていうふうに伝えるんだったら、相当慎重にやらなきゃなんんだよね。
 
 ”
幹部は「パートナー」、もう一蓮托生
“また、私は幹部にするっていうのは、もう一蓮托生だと思うんですよね。
さっきも言ったように「寄っかかれる」「相談もできる」っていうぐらいのやつが幹部だと思うんで、そういう人たちっていうのは、僕はもう切るべきじゃないと思ってるんです。だからうちの会社でも、それは宣言してあります。

実はうちの会社って、幹部を「パートナー」って呼んでるんですけど、普通で言う役員ですよね、なった瞬間に、実は評価に差を一切付けません。全員一律の評価です。だから、毎年給料は上がるか、業績悪かったら全員上がらない。でも上げるときは全員、一定率で上げていってます。なおかつ降格もありません、絶対に。それはよっぽど事件でも起こしたら別だけど、そうじゃない限り降格もしません。それは、そこまで一蓮托生なんで、こいつらを首にするときは自分も責任とらなきゃならないぐらいの気持ちで、幹部になる人間を選んでるんで、そういうつもりで彼らに働いてほしいから。
 
幹部を次々に切るっていう方法もあるんだけど、次に幹部になったやつに、「俺も何かやったら切られるな」と思われたら、お互い100%の信頼関係で仕事できないじゃないですか。
 
人の道を踏み外すやつは駄目ですよ、犯罪を犯すとか。それはもうしょうがないと思うんですけど、事業失敗したとかそんなことで首にできるような人間だったり、降格できるような人っていうのは、幹部でも降格あるんだってなっちゃったら、誰も100%のロイヤルティとリスペクトはもう持たないですよ。だからそういう意味では非常に慎重にやったほうが、僕はいいと思います。だから幹部っていう「称号」を簡単に与えるのは、「企業の成長」には相当危険だと思ってるんですよね。
 
ただ、ポジションを与えるのは構わないですよ。別に専務でもいいし、常務でもいいし、副社長でもいいよ。ただ「こいつは幹部じゃない」っていうことを頭ん中に持ってることが非常に重要。幹部であるかどうか。というふうに思ってます。
 ”

Q 社員の報酬の決め方
“あと、報酬の決め方っていう質問もありましたね。うちはだから、さっきも言ったように共同経営者は、実は報酬の決め方ってすごく簡単で、全員一緒なんですよね、うち。CEOもCOも関係なく、全員一緒。上げるときも全員一緒に上げて。
これ、昔は変えていたんですよ。変えていたんですけど、普通に私たち毎日ランチミーティングをしてるんですけど、その中で素朴に変えないほうがいいんじゃないのって、ある一人が言い出して。言われてみたら変える必要性がないんじゃないって、一応社長だから俺が一番もらおうと思ってたんだけど、よくよく考えたら、俺ら3人の間で、それがあったら「ちょっとおかしい気分になるよね」っていうことで、じゃあ、もう一緒にしちゃおうって全員今は一緒です。で、幹部って言われてる人たちの報酬は、マーケットプライスを見てます、
 
 
すなわち、これはちょっと汚い言い方ですけど、絶対に辞めたくないなっていうぐらい払っています。だから、普通の会社の、大企業でいうと専務だの、副社長にならない限り超えられないぐらいの給料を払ってます。なぜかっていったら、彼らがいなくなったら本当に困るんだよね。もう本当に自分の、またソリューションスペースが狭まっちゃうんで、何としても彼らには辞めてほしくないんで、普通の相場の倍払っても、総額でいったら数億円でしょ、極端な話。そんなの全体の人件費からいったら大したことないので、ここはもう惜しみなく払ってます。正直言うと。これが大きなポイントなのは、よくあるのが、創業経営者と幹部の間の差が、絶対あるじゃないですか。
一番大きいのは株式ですよね。これは特に上場している会社の場合は、株式を持ってるか、持ってないかですごい差が付いちゃうんで、そうするとストックオプションだの何だの一生懸命やるんだけど、ストックオプションだって出したら翌年に下がったりして、えらい目にみんな遭うわけで、そう簡単にそれでロイヤルティコントロールできないんで、もう本当に幹部だと思うんだったら、幹部クラスは絶対引き抜かれたり何があっても困るんで。しかも幹部っていうのは他と違っていいんですよ。部長はある意味で規則が必要ですけど、幹部クラスは世間相場を考えて、「このぐらいの報酬払ってたら十分満足だろう」っていうところまで払っても問題ないと思うんですね。だからそれは、理想的にいったら一人一本だと思うよ。1億ね。これは真面目な話です。これは創業経営者より高くても、僕はいいと思うんだよね、幹部は。
なぜかって、株持ってないんだもん。
 
だから、一獲千金を狙わせたら独立しますよ、幹部は。だって考えてみたら、ばかばかしくなってくるのね。この人は株持ってるからいいけど、何か俺どんなにがんばっても年収2000万ですっていう状況だったら、自分と同じぐらいの同期のやつとかで独立したやつとか、何ならその会社辞めたやつとかが会社つくって上場とかした日には、もう目も当てられないことになるんで、やっぱり俺もやろうかなってどんどんいなくなっちゃうから、そこはある程度、惜しみなく払わないと駄目だと思います。それは上場できるぐらいの、上場してるぐらいの規模の会社だったら特に意識はしとかないと、「株を持ってる者」と「持ってない者」で、ものすごく差が出てくる上に、グループ会社が上場したりしたら、もっと最悪なことになっちゃうんで、そうすると俺もやれるんじゃないかみたいになって、みんなどんどん、それも同じシナジーの方向で行ってくれるんだったら、グループ会社の中にどんどん増やすっていう方法ももちろんあるけれども、
いやいや、完全に関係なく自分で独立しますとかなっちゃうと、そのほうが給料も取れるし、そうじゃなくても上場したらシェア20%しか持ってなくても、結構稼げるよねみたいになっちゃうと、やっぱりロイヤルティがガーンと下がっちゃうんで、それを防ぐためにも絶対重要だなというふうに思います。
 ”
Q 仕事をどこまで任せるか?
“あとは、どこまで任せるかっていうような質問もあったんですけど、さっきも言ったようにソリューションスペースの中で、こいつだったらここは任せられるなっていう領域しか任せないんで、で、投げ捨てるっていうのだけは本当に、ベンチャーはやめたほうがいいですよ。投げ捨てるっていうのは、もうなんか、「俺そこまでやるべきじゃないし」とか、もしくは「やっぱり任せてこそ人は育つから」とか言って、大事なエリア任せちゃうと、競争力、一気に劣化しますよ。
 
例えばうちの会社でいうと、あるタイミングで大部長にガンと任せたエリアっていうのが1個あるんですよ。何かっていうと、営業です。
営業そのものを任せたんじゃなくて、数字目標の達成をするかしないかのところは、全部任せたんですね。これによって何が起こるかっていったら、確実に業績が悪化します。それは私たちの場合は、創業4年目にやりました。それまでは私や共同代表が全部入って、うちの場合、1件1件の案件が大きいんで、受注するかしないかでえらい差が出ちゃうんで、億単位の案件ばっかりだから、そうすると1件1件入って、絶対ロストしないようにあらゆる方法をサジェストして、こうやってやってたんだけど、これはさすがにもうできないのね。だからもうあるタイミングで、ある程度任せて、で、駄目になりそうな状況になったりしたときに一応聞いてみて、奪回できそうだったら手を少し入れるっていうことがあっても、基本的にはもう多少ロストしても、もういいやと思ってやってました。だから創業から4年までの間、当時私と共同代表がほぼ営業もやってたんだけど、彼と私が見てたのを一気に手を引いたら、受注率は半分になりました。だから、それまで1億、2億5000万、5億、10億って来て、翌年20億になったんですけど、計算すると結構伸びてるんで、翌年30億ぐらいになるなって思ったんですよ。そのときに30億になんなくてもいいなって、ここで一気にバトンタッチしとかないと、どこかでバトンタッチしてマイナスになっちゃうとヤバいから、どこかでバトンタッチしなきゃなんないんだったら、ここでやっちゃおうっていうので、10億の翌年のときに全部任したんですよ。
そうするとやっぱり、30億ぐらいの予定だったのが、結局20億ぐらいしか行かなかったんで。20億の翌年は35ぐらいだったかな。それはもう自分たちでやってたら50億にできてたと思うけど、それはもうしょうがない、そこに手入れてたら他のことできないんで。こういうところはある程度もう慣れましたけど。
やっぱりそれは、うちの場合でいうと、営業的には結構余力があるから投げたんだよね、逆に言うと。多少マイナスになってもいいやみたいな。それを投げたんだけど、そうじゃないところはやっぱり手を入れないとしょうがないんで、あんまり、任せたら人は成長するからまあ、いいやみたいなやり方を、ベンチャーはとるべきじゃないと思うんだよね。もちろん許容範囲は任せたらいいと思うよ。10分の1だけ任せるとか、それは別にやっても問題ないと思うんで、ちゃんとその辺の判断をした上でやったほうが、いいと思います。
 ”
Q 経営幹部の処遇で、会社の成長に付いてこれなくなった人をどうするか?
“あと、最後ですけど、さっき言ったように経営幹部の処遇で、会社の成長に付いてこれなくなった人、どうすんのってことですが、それ、経営幹部にしちゃったんだったら、相当問題がある処遇になりますよね。だけどうちでもそうですが、大部長を処遇するのに似たようなところがあって、結構大活躍した人なんだけど、今のうちの会社では今一つだなというときは、ポジションはもう外してます。給与は下げてません。
給与まで下げちゃうと恨みになっちゃうんで、やっぱりいいことないんだよね、給与下げると。だからそこはもうある程度。そうすると何が起こるかっていうと、もう俺はいいんだと、給与もらえてるから適当に仕事するわってなっていくんだけど、適当に仕事してもらってもいいやって、正直言うとね、多少は。だけどポジションさえ外しとけば、周りからはどう見られてるか分かんないけど、まあ、窓際ですねっていうふうに見られてるけど、給与下がってないから、まあ、いいかって状況で働いてる人うちもいます。
でもこの辺りは別に、大部長だったら切ってもいいと思います。ただ幹部は、僕は切らないほうがいいと思うんで。
 ”
Q 経営判断や考え方、会社経営で最も大切にすることは何か?
“あとは、経営判断や考え方っていう質問が、次に10人ぐらいからあったんですけど、会社経営で最も大切にすることは何かっていうご質問がありました。一番重要なのは、私は「社会貢献」だというふうに思ってます。これはきれい事じゃないです。なぜかって、社会貢献って幅広すぎるのでもっと言えば、世の中に対して、自分たちのイノベーションで、世の中の何が良くなるのかっていうことが非常に重要だと思ってます、何も良くならないんだったら、会社として成り立たないと思うんだよね。いや成り立つよ、ただ社員は、優秀な人材を吸着することはできないんだよ。だってすぐにばれるから。
 
この手のタイプで、特に何もイノベーション起こしてないんだけど、自分独立してつくった会社で、結構それなりに成長してきてますっていうタイプの会社で行き詰まりは何かっていうと、それを見た幹部が、自分が辞めてまた独立するんだよね。これを永遠に繰り返されるのね。だから、結局本当の意味での成長が難しくなっちゃうっていうのは間違いなくあるんで、そういう意味では社会に対して何を革新して、それによって世の中がどう良くなるのかっていうことを目標に置くべきだというふうに、私は強く思ってるんですね。
 
そうじゃないと、優秀な人材を集めると逆効果です。どんどんノウハウをためて、スピンアウトしてっちゃうんで、そこがだから明確であれば、みんなその思いで一体化するんで、優秀なやつほど辞めなくなります。うちはもう、本当に優秀なやつが辞めなくなってる。それは、それが理由だと思います。
 
あとは、大切にしてることの二つ目、これは社員に対しては特にそうですけど、でき得る限り矛盾のない経営をしたほうがいいです。矛盾のある経営をするとこれも優秀なやつはそれが不満で、あっという間に組織が崩壊します。だからここで大きなポイントは、優秀な人材っていうのはすごい重要なんだけど、毒なんだよね。「毒にも薬にもなる」んで、本当に危険なんですよ、優秀なやつというのは。だから、優秀な人たちを増やさないと、会社の競争力って絶対上がらないんですけど、そのためには今言ったように矛盾のない経営っていうのも、やっぱり心がけていかなきゃなりません。
 
矛盾のない経営をやってても、どうしようもないことってあるじゃないですか。特に会社が小さいときはそうですね、こんな受注取るべきじゃないんだけども、取りましたと。何でこんなわけの分かんない受注取って、社員もみんな死にそうになるのに取るんだみたいなことがあっても、これは素直に謝ればいいんですよ。申し訳ないけど、会社の実力がなさ過ぎて、これ取らないとしょうがないんで我慢してって、もう言うしかないのね。
この我慢を延々に我慢してってやってたら、確実にブラック企業って言われるけどね。だけどそうじゃない限りは、どこかでそういう矛盾があったら、なくしていくべきなんだね、やっぱり。それを絶えず経営者が、んなことは会社なんだから、いろいろあるんだよってやっちゃうと、優秀なやつはみんなあっという間に辞めます。この辺りで矛盾のない経営っていうのを、慎重にやったほうがいいと思いますね。
 ”
Q 決断に迷ったこととか、一番の試練は何ですか?
“あと質問の中にあったのは、決断に迷ったこととか、一番の試練は何ですかみたいことがあるんだけど。一番の試練は何か。試練はね……。創業時が一番試練だったとは思うんだけど、最近も結構試練は受けてますよ。だけど一番試練だなと思ったことは、何なんだろうな……、全くないね、試練なんかね。っていうか、そんなこと言ったら日々試練だね、正直言うと。日々、日々試練はいっぱいあるけど、これが試練だななんていうのは、あんまり正直言って、今となってはないですね。
 
創業して10年目ぐらいまでは、最初の資金調達が試練だったんだよね。本当にそのとき、これもう資金集まんないから、創業して1年でつぶれるなみたいな、ぐらいの状況になってたんだけども、今から考えたらそんなの別に、全く普通だなみたいな状況になっちゃったんで、もう正直言うと試練とは、あんまり思わないですね。
 
決断に迷ったことっていうのも、やっぱり質問にあったんだけど、一番決断に迷ったのは、上場して5年目ぐらのときに、「このまま行くと確実に成長は鈍化するな」とすごい考えたんだよね。ここにも上場企業の方もおられますけど、
 
その後の質問の中で、上場するメリット、デメリットっていう話もありましたけど、実は上場する最大のデメリットは、メンタリティーがやられるってことなんだよね。何かっていうと、メンタルをものすごく影響受けちゃうのね。何に影響受けるかっていったら、自分のコミットに対して。やっぱり上場すると経営者っていうのは、投資家とかいろいろな人に会うんですね。また会わないにしてもメディアでいろいろ書かれるわけです。そういったインタビューとかに答えてるうちに、自分をがんじがらめにしちゃう傾向にあるんだね。
経営者って案外、みんな約束守りたい人が多いんだよね。そうすると、上場してから業績、こうなりますよって言ったことに対して、裏切るのが嫌でしょうがないわけ。何としても達成しようとする傾向にあって、これが実は会社の経営を大幅に狭めてくんだよね。それは実は自分でも、創業して10年から15年ぐらいのときに、すごい悩んだんだけど、やっぱり判断は甘かった。ずっと、まあまあ、やっぱり守ろう、利益は約束したとおりにできるだけ出そう、一生懸命そっちへ方向を切っていった結果、成長の投資は今やんなくてもいいや、今やんなくてもいいやって、ずっと抑えてたんだよね。例えば採用を思いきってしたら、来年赤字になっちゃうかもわかんないじゃない。それじゃまずいねと。でも上場するっていうことは資金調達してるわけで、お金あるわけだから、赤字になってもつぶれないんだよね。だからそこで思いきって何かできなかったのかっていうと、できない理由は特にない。でもメンタル的に、何かちょっと、「うそつき」って言われるのも嫌だしっていうのもあって、どうしても守ろうとするんで、その結果、確実に経営速度っていうのは落ちます。だからそこで私は随分と決断に迷って、最終的には決断するのに、丸々5年掛かりました。5年ぐらいずっと、「いや、やっぱり」「いや」「うーん、やっぱりこうする」「いや、どうしよう」なんてやってるうちに5年ぐらいたって、私はMBOという決断をしたんですけどね。このMBOっていう決断も、成功だったか、失敗したかっていうのは、結論からいったらまだ分かりません、はっきり言って。
 
もっと他に方法はないのかなって、正直、今だったら思います。ただ、あの当時の選択肢としてはそれしかなかった。それでもしょうがないかなと思いますが、ただし上場を廃止したこと自体は、いいことだったと思います。
 
やっぱりメンタリティーが回復しました。上場廃止後1年、2年ぐらいたったときに、やっぱり俺って完全に病気だったなんて、すごく思いましたんで、

今ここにいる上場企業の社長は、多分みんな病気です。あと、マイナスの決断っていう話がありましたけど、例えば事業撤退だとか、給与を全体的に引き下げるとか、そんなネガティブな判断、人員整理、これはもう、心持ちっていう意味でいったら、もう負け戦ですから。負け戦で撤退した上で、盛り返さなきゃならないんだけど、昔は中国でも日本でもいいんだけど、戦争でいったら、今回は負けて兵隊、10万人のうち5万人死んじゃったけど、これは撤退だみたいな、そういうすっきりした気分でできるわけないよね。
だって「もう負けてるんだし、自分の責任だし」、みたいな状況の中でやるわけだから、これは正直言ってトラウマだよね、
 ”
Q 経営者としてのモチベーションの保ち方は?
“あとは、モチベーションね、経営者としてのモチベーションの保ち方とか、もっと会社を大きくしていきたいっていう意欲っていうのは、どうやってキープするんですかっていうことなんですけど、それは当たり前ですが、さっき言った社会貢献のどのレベルでするかなんだよね。それを、例えば社会貢献なくてもいいってことになると、もう規模しかないんだよね。規模をひたすら大きくしていくしかなくて。
昔、ヒグチ薬局が357店目標とかいってCMでやってるときに、子供ながらに、これ357店になったらどうするつもりなんだろうなって、いっつも思ってたら、三百五十何店になった翌年には千三百五十何店が目標になってたんだけど、何の意味があるのかよく分からないなって子供でも思ってたし、今、経営者として考えると、全く意味のない目標だと思うんだよね。それをやってたら、当然だけど、売上高50億になったら、次、100億? それ、モチベーションあるの。ないよね。そんなモチベーション、ないでしょ。50億を100億にするのに、モチベーション維持できる人間なんて、いないと思いましたよね。
 
多分その次のレンジで考えるとしたら、赤字にしたくないとか、できれば安定的に黒字を出したいとか、安全欲求を満たしたいだけで、会社の成長ではないでしょ。規模って、実は大きくなったらリスクばっかり増していくんで、安定なんかしないですよ、正直言って。だから、規模を目指すっていうやり方は、社員も付いてこれないのね。何のためにってなっちゃうから、何のために売上高200億にしなきゃなんないのって、優秀なやつは必ず思うわけですよ。別にいいじゃん、100億でもって。安定してるんだからっていう人も出てきちゃうんで。
 
だから例えば皆さんの会社で、何を目的にしてるのかによって、規模が大きくないと成り立たないんだったら、規模大きくするべきだし、これは極めて合理性がある話じゃないですか。もっと新しい製品を生み出したいんで、そのために余力が要るんだったら、じゃあ、売上高どれぐらい必要なんだっていうことを考えなきゃなんないから、そのために売り上げが必要なんだってならなきゃならないんで、さっきも言ったように「社会貢献、もしくはイノベーションを起こして世の中をどう変えたいのか」っていうことがまずなければ、志っていうのを永遠に持つことってできないというふうに、思いますね。
 ”
Q 急成長の原動力は何ですか?
“あと、次は企業の成長についてということで、急成長の原動力は何ですかっていうことなんですけど、これはほとんど全ての産業でそうだと思いますが、絶対的に営業力なんですよね。うちはエンジニアが最も人数も多いし、エンジニアに対する投資はすごいですけど、やっぱり一番重要なのは営業力なんですよね。営業力が無ければ、何も成り立たないんですよね。
 
どんないい製品作っても、世の中に広まらなかったら意味がないし、どれほど優秀な人材を採ってこれたとしても、売る物なかったら意味がないんで、すなわち、やはり営業っていうのが事業の中で最も重要な要素だというふうには思ってます、うちの場合は阿部という、科学的な営業をする上で本当に天才的な人間がいたのが大きかったと思います。
 
あとは、どこまで成長を求めるかという質問がありましたね。要は自分が、この質問者の方ですけど、ガンガンガンガン成長させていくと、組織が付いてこられなくて崩壊しちゃいますと。そんなに何で急ぐんだみたいな話を、社員からもされるっていう話ですけど、むちゃくちゃその経営者、うらやましいなと思うんだよね。私は自分でそこまでの速度感を持ったためしがないんですよ。ないっていうか、必死でがんばってるんだけど、常識の範囲がどうしても自分を押しとどめちゃうんですね。正直言って今の成長速度だって、全く不満足なんですね。うちの会社も、売上高100億ぐらいまではずっと、年率25%とか35%、50%とか伸びてたんですけど、100億超えてからっていうのは、成長率が3割が2割になり、15%になり、200億超える前後になってきたら、もう成長率5%まで落ちてたんですよ。これはね、もうどうやったら早くなるんだろうって、すごい悩んだぐらいで。その速度感一番ないの、俺じゃんみたいな状況になってて。その中で速度感を一生懸命上げてきて、やっと今期で成長率が2割強ぐらいなんだよね。
 
売上高500億前後で2割強だったら、まあ、いいほうなんだけど、海外のメガベンチャーと比べると、あまりにも成長速度遅すぎて、海外と比較するとがっくりきて、国内見たら案外やれるじゃんみたいな、これの繰り返しなんだよね。
 
こんなのじゃ駄目だなと今でも思ってるんだけど、それのボトルネックはさっきも言ったように、やっぱり経営者だと思ってるんですよね。だから経営者がめちゃくちゃ早いスピードで成長しようとしてるのに、組織が付いてきてないとか、気にすることないんじゃないの。かなと思うんですよね。
 
だからそれだけまだ、ものすごい速度で成長できる勢いがあるんだったら、ガンガン勢いをつけて伸ばしていって、その上で崩壊しないような組織を一生懸命つくることに力を入れるだけで、成長速度を落とす必要性はないと思うんですよね。成長速度を落としたおかげでうまくいった会社なんか、聞いたことないんだよね。たまにいるんだよね、そういうこと言うのが。ちょっと一、二年成長速度を落として、内部を充実させてとか、そんなことやってうまくいってる会社なんか、聞いたことないです。正直言って。もう勢いがあるときに伸ばし切らないと、絶対に経営者も含めて、幹部も含めて、もっと言えば大部長も含めて、勢いを一気に劣化したら、もう一回伸ばすのはすごい大変ですよ。営業もそうで、うちもそうだけど、ずっと5%成長だったじゃないですか。ここ2年、15%、20何%成長で来てるんだけど、こんなスピードじゃないぐらいリソース投入してるんですよ。でももう常識が、去年よりも全然売れてんじゃん、みたいになると、これで十分だよねってなるんだよね。それがやっぱりすごいリスクだなと思うので、成長速度は落とすべきじゃないと、絶えず思います。
 ”
最後に 幹部の皆さんに
“ほんと幹部の方、既に幹部なんだと認められてる方は、やっぱりいつも考えてほしいのは、その会社でやっていくんだという前提であれば、経営者の思想っていうのは大事にしてあげてほしいんだよね。そうじゃなくて経営者の思想が間違ってると思うんだったら、さっさと辞めたほうがいいと思うんだよね。経営者に対して文句言う前に、経営者に対してどこまで合わせられるかっていうのはすごい重要なことだと思うし、それがあるが故に、経営者からしたらとっても大切な幹部なわけで、最も大切にしたい人たちになるわけだから、そこをやっぱり絶えず頭に入れて、正しいことが正しいんだっていうのは間違いないんだけど、それは経営者と随分話し合った上で、経営者が納得しないんだったら、もう辞めたらいいんですよ。極論を言えば。そうじゃないんだったら、経営者も納得しない、でも自分も納得できない、お互い説得し切れない状況なんだったら、そのときにどっちが正しいかって判断すると、簡単な話です、それは経営者が正しくないとおかしいんです。
 
だから経営者に対して、さっきも言ったように経営者をリスペクトするべきだし、ロイヤルティを持つべきだし、何よりも下に対しては絶えずポジティブシンカーでやっていけば、確実に経営パワーっていうのは上がるんで、そこにやっぱり何かギャップがあると、確実にふん詰まっちゃいますから、経営幹部の方々も、経営者を大切にして、大切にしないんだったら辞める、もうこれしかないと思うんだよね。ほんとに。
 
だから、そこをぜひ考えてやってもらえると、よりいい経営になることは間違いないなと思います。
以上です。”